2011年9月24日土曜日

デザインの基本的な考え方を再構築

concrete forms (23)
concrete forms (23) / Concrete Forms

長い間、商業施設・店舗デザイン設計に関わりを持ち、様々なデザインに触れ、また、自身でも数知れずデザインしてきた。
デザインを学問的に学んだことは無いけど、大学で学んだ建築における基礎知識と実践で積み上げてきたノウハウで店舗デザイナーとしての役割を果たしてきた。しかし、最近になって「これでいいのか?」と思えるものが多くなってきた。「誰のためのデザイン?」と。

「デザインって何?」って事で基本な考え方を再構築してみる。


デザインとは意匠計画

初対面のときの名刺交換の際、「設計の・・・です。」と「デザインの・・・です。」では相手のリアクションが違う。
理系的言葉の「設計」と文系的言葉の「デザイン」。自分にとってはまったく同じものなのだが、言葉にすると違う印象を受けるようだ。

センスや美的感覚だけではデザインすることは難しい。

店舗でも住宅でもプロダクトでもグラフィックでも、最終的に形になるものがあり、機能すべき事があり、組み込まれる要素があり、それらを計画的に組み立てていくことがデザインだと考えている。すべてのものには意味があり、それを正確に読み取り組み立てていくことがデザインだと。


デザインの6要素

デザインの要素としてはざっくり言って6種類。
何をデザインするかで多少重要度は変わるが重きを置くもの順に書き出していく。

フォルム:形のこと
形には必然性がある。何故この形なのかを見つけ出すことはとても重要。
自分の場合、半分はこの試行錯誤。

カラー:色
印象に一番影響がある要素。同じモノでも違って見える。

テクスチャ:質感
人が触れる時、本能的に感じる度合いが違うものなので、相手によってはとても慎重に選択する要素。

レイアウト:配置
2次元でも3次元でも空間をデザインするとき全体の印象を決める要素。

バランス:比率
とてもデリケートな要素。さじ加減一つでどうにでもなるのでスパイスだと思っている。

トーン:明暗
仕上げの要素。綺麗にまとめると上品に、ラフにまとめるとダイナミックになる。

全てこれにあてはめて、考えているわけではないけど、このように要素ごとに区分して整理していくとイメージの世界が具体的な表現となってまとまってくる。


それぞれの要素を原理に基づいて組み立てる

読みやすいブログにするためにやるべきこと!!(デザイン編)
でも書いたけど、それぞれの要素を組み立てる時に必ず考慮すべき原理が4つある。

関連性の高いモノは近づける。(近接の原理)
見えない線を使って整列させる。(整列の原理
強弱を使いリズムを意識する。(対比の原理)
統一感が出るように反復させる。(反復の原理

要素を原理に従い構築させる。迷いが起こったときはどれが最重要なのかを自問自答し、その中で決定していく。


まとめ

「デザインすること」は自分の場合、誰かのためにやる作業なので、相手に納得して貰わないと意味が無い。
その作業は模範解答はあるけど、本当の正解を見つけることは究極に難しいし、まず無理だ。

だからこそ、ここに書いたような考え方で自分自身でまず納得し、論理的にプレゼンして理解を貰えるようにしている。

ただ、これまでヒヤリングを丁寧にし、内容を十分理解した上で手掛けたデザインは、その図面とパースを見てもらっただけで、何も説明しなくても気に入っていただけた。

その快感が今まで続けてこれた理由なのだろう。